離婚・男女関係

中絶費用・慰謝料請求

人工妊娠中絶ができる場合

大変残念なことですが、望まない妊娠をしてしまった結果、人工妊娠中絶を考えざるを得ないというケースがあります。
人工妊娠中絶は、法律上は、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出すること」と定義されています(母体保護法1条)。
1、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある」場合、または、

2、「暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠した」場合

に、原則として本人及び配偶者の同意の上で、人工妊娠中絶を受けることができるとされていますが(母体保護法14条)、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」は、「通常妊娠満22週未満」ですので(厚生労働省事務次官通知)、22週以降は、人工妊娠中絶を受けることができないことにご注意ください。

 

中絶費用、慰謝料等の請求

 

妊娠・人工妊娠中絶に伴う負担

実際に、妊娠をして、人工妊娠中絶を受けることになると、女性は、手術自体による身体的なダメージはもちろん、精神的に大きなストレスや不安を抱えたり、体調不良に陥ったりするなど、身体的、精神的に大きな負担が伴います。また、検査、手術費用などの支払のほか、仕事を休んだような場合には、その間の収入が得られないなど、経済的負担が発生することもあります。
しかし、そもそも、妊娠は、男女の共同の行為によって生じるものですから、女性だけが、上記のような負担を被るのは公平ではありません。

 

判例

それでは、妊娠、人工妊娠中絶をした女性は、男性に対して、中絶費用等の請求をすることができるでしょうか。
この点について、直接的に規定した法律はありませんが、判例上は、不法行為(民法709条)又は条理を根拠に、女性から男性への損害賠償請求を認めており、近時、損害賠償請求を認める判例の多くは、不法行為を根拠にしています。


東京高等裁判所平成21年10月15日判決は、この種の事案における最も代表的な判例でしょう。同判決は、女性の身体的、精神的苦痛や経済的負担は、「男性と女性が共同で行った性行為に由来し、その結果として生ずるものであるから、男性と女性とが等しくそれらによる不利益を分担すべきである」ことを前提に、男性には、女性の「不利益を軽減、解消し、あるいは分担するための行為をする法的義務を負っている」とした上で、女性から、その不利益を軽減、解消、分担するための行為をしていない男性に対する損害賠償請求を認めています。

 

損害賠償の要件

不法行為を根拠とする場合は、男性の側に、「女性の不利益を軽減、解消し、あるいは分担するための行為をする法的義務」の違反があることが必要です。


したがって、男性が、女性に対し、誠意をもって、その不利益を軽減、解消、分担すべく努力しているような場合には、損害賠償は認められないものと考えられます。
もっとも、そもそも、女性が男性に対して中絶費用等の請求をせざるを得ないような場合、多くは、男性の配慮が十分でなかったり、中絶費用を分担していなかったりするようなケースであると考えられますので、そのような場合は、不法行為が成立する可能性が高いといえるでしょう。

 

請求額

上記の東京高等裁判所の判決では、女性に生じた損害額は、1、慰謝料(200万円)と2、治療費等(68万4604円)の合計268万4604円であると認定し、損害賠償義務の発生原因及び性質から、男性は、その2分の1である134万2304円と、3、女性の弁護士費用(10万円)を合わせた144万2304円の賠償義務を認めています。
ただし、上記の判決は、女性が、手術後、心身症の胃炎、不眠症、重篤なうつ状態といった精神的疾患等を発症し、裁判時においても、その症状が残存していたというケースであり、事案によっては、そこまで高額な慰謝料が認められないような場合もあるでしょう。


東京地方裁判所の他の事案では、

(a)慰謝料250万円と弁護士費用25万円の賠償義務を認めたもの、

(b)慰謝料20万円(全額)と治療費等の2分の1の賠償義務を認めたもの、

(c)慰謝料60万円の2分の1、治療費等の2分の1と弁護士費用5万円の賠償義務を認めたもの、

(d)慰謝料100万円の2分の1と弁護士費用5万円をの賠償義務を認めたもの、

(e)慰謝料70万円、治療費等、弁護士費用等12万円の賠償義務を認めたもの、

(f)慰謝料15万円の3分の2、治療費等の2分の1、供養料の2分の1、DNA鑑定費用の3分の1を認めたもの

などがあり、事案によって、請求が認められる金額は、一様ではありません。

 

証拠について

女性からすれば、非常に不本意な主張であると思われますが、事件によっては、男性が、「胎児の父が本当に自分の子であるかどうか分からない」などと主張してくることもありえます。
このようなケースでは、妊娠の週数に関する医師の診断と性行為の日時をもって、胎児が男性の子であることを立証することが基本となり、上記の東京高等裁判所の判決でも、それらをもって、男性が胎児の父であると認定しています。


ただし、裁判所の事実認定は、あくまで、事案ごとに裁判所が判断するものですので、万全を期すのであれば、DNA鑑定の実施を検討する必要があります。例えば、男性が鑑定に協力しないような場合も、後の裁判に備えて、胎児のDNA鑑定の結果を保存しておくことが可能です。なお、出生前DNA鑑定は、一般的に、15万円から20万円前後の費用がかかることが多いようですが、その一部について、損害賠償の対象として認められる場合もあります。

 

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